採用が決まった際に交付する労働条件通知書は、法律で明示すべき項目が定められている重要な書類です。しかし実務では、いくつかの項目が書き漏れたまま交付されてしまうケースが見られます。この記事では、特に見落とされがちな項目を整理します。詳細な様式や記載義務は社会保険労務士に確認してください。
採用時の労働条件通知書、書き漏れが多い項目

「更新の有無」と「更新基準」の記載
有期雇用契約の場合、契約更新があるかどうか、更新がある場合はどのような基準で判断するのかを明記する必要があります。この項目が曖昧なまま交付されると、契約更新時にトラブルになりやすくなります。
更新基準は抽象的な表現になりがちですが、可能な限り具体的な判断基準を示すことが望ましい対応です。
「就業場所の変更範囲」の記載
建設業では現場ごとに就業場所が変わることが一般的ですが、この変更の範囲について明記されていないケースが見られます。将来的にどの範囲まで異動や現場変更があり得るのかを明示しておくことが、後のトラブルを防ぐ上で重要です。
この項目は近年の法改正でより明確な記載が求められるようになった経緯があるため、最新の様式を確認しておく必要があります。
「試用期間中の労働条件」の記載
試用期間中の給与や労働条件が、本採用後と異なる場合、その内容が明確に記載されていないと、試用期間終了時にトラブルが生じることがあります。試用期間と本採用後の条件が異なるのであれば、両方を明記しておく必要があります。
この記載が曖昧なまま採用を進めると、条件変更の際に「聞いていない」というトラブルにつながります。
「休日・休暇に関する具体的な記載」
「週休二日制」といった大まかな表現だけで、具体的にどの曜日が休みなのか、シフト制の場合の休日の決め方が記載されていないケースも見られます。求職者にとって休日は重要な関心事であるため、できる限り具体的に記載することが望ましい対応です。
建設業では天候による休業日の扱いについても、あらかじめ明確にしておくことがトラブル防止につながります。
電子化された様式への対応も進めておく
労働条件通知書は近年、電子的な方法での交付が認められるようになっており、書面と電子データの両方に対応できる体制を整えておくことが実務上望ましくなっています。電子化することで記載漏れのチェックをシステム的に行いやすくなるという利点もありますが、求職者側が電子データでの受け取りに同意しているかを確認する手続きも必要になるため、導入する際は運用ルールを明確にしておくことが重要です。
紙と電子の併用を続ける場合は、どちらの様式でも記載内容が完全に一致するよう、テンプレートの管理を一元化しておくことが漏れを防ぐ基本的な対策になります。
過去に交付した通知書を定期的に点検する
法改正によって必須記載事項が追加されることがあるため、以前作成したテンプレートをそのまま使い続けていると、いつの間にか法定要件を満たさなくなっていることがあります。年に一度程度、現在使用しているテンプレートが最新の法令に対応しているかを確認する機会を設けることが、こうしたリスクを防ぐ有効な対策です。
社会保険労務士と顧問契約がある場合は、この点検を定例業務として依頼しておくことで、法改正への対応漏れを防ぐことができます。
まとめ
労働条件通知書では、更新基準、就業場所の変更範囲、試用期間中の条件、休日の具体的な記載が見落とされがちです。法律で定められた必須記載事項を確認し、自社の書式に漏れがないかを定期的に点検することが重要です。
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